サービス名を決めた夜のことを、今でもたまに思い出す。
候補はいくつもあったのに、どれもしっくりこなかった。
「ふたりしずかに」という言葉が浮かんだとき、これだと思った。
でも同時に、人に見せるのが恥ずかしかった。
この名前に込めた想いを、正直に書いてみます。
あの夜、ノートに書いた言葉
サービス名を決めた夜のことを、今でもたまに思い出す。
ノートパソコンの画面を前に、何時間もメモ帳と向き合っていた。
候補はいくつもあった。もっとキャッチーなもの、もっとわかりやすいもの、もっと「サービスっぽい」もの。
でも、どれもしっくりこなかった。
そのとき、ふと浮かんだのが「ふたりしずかに」という言葉だった。
正直に言うと、最初はこの名前を人に見せるのが恥ずかしかった。
サービス名としてはちょっと変わっているし、何の店かもわからない。
友人に話したら「それ、バンド名?」と聞かれそうだ。
なぜ「静かに」だったのか
この仕事を始めようと思ったきっかけについては、第1話で少し書いた。でも、名前のことはまだ話していなかった。
私がこのサービスで大事にしたかったのは、「一緒にいるけど、無理に話さなくていい」という感覚だ。
人と会うとき、私たちは多くの場合、何かを「しなければいけない」と思っている。面白い話をしなきゃ。相手を退屈させちゃいけない。
沈黙が続いたら気まずい。そういうプレッシャーが、人と会うことを疲れさせる原因のひとつだと私は思っている。
でも本当は、ただ隣にいるだけでいい時間がある。
カフェで、それぞれが好きな飲み物を頼んで、ぼんやり窓の外を見ている。
ときどき思いついたことを話して、また黙る。そういう時間を過ごせる相手が、たぶんいちばん楽な相手だと思う。
「ふたりしずかに」という名前には、そういう時間を作りたいという気持ちを込めた。
「ふたり」にこだわった理由
候補の中には「しずかなじかん」とか「ひとりしずかに」みたいな案もあった。
でも「ふたり」という言葉を入れたかった。
ひとりじゃない、ということを伝えたかったわけではない。それだと少し押しつけがましい気がした。
「ふたり」という言葉が持つ、対等な響きが好きだった。
三人でも四人でもなく、ふたり。向かい合って、あるいは横に並んで。
大人数の輪に入れなくても、ふたりなら大丈夫だという方は多いのではないかと思った。
これは私の感覚にすぎないけれど、内向的な人にとって「ふたり」という単位は、ちょうどいい。
名前を決めてから気づいたこと
サービス名を「ふたりしずかに」に決めてからしばらくは、人に説明するたびにちょっと気恥ずかしかった。
ビジネスの場で、この名前はやわらかすぎるんじゃないか。
もっと堂々とした名前にすべきだったんじゃないか。そんなことを何度か考えた。
でも、あるとき気づいた。この照れくささは、たぶん大事なものだ。
ビジネスとして割り切れない部分があるからこそ、照れる。
効率や集客だけを考えた名前だったら、説明するときに恥ずかしくなんかならない。
この名前に私の本音が入っているから、人に見せるのが少し怖い。
話がそれるけど、昔、好きな曲の歌詞を友達に教えるときの、あの感じに似ている。
自分の感性を誰かに差し出すような。伝わらなかったらどうしよう、と思うような。
そういう感覚を、サービス名に対して持てているということは、たぶん悪くないことだと今は思っている。
この名前が、私自身を律してくれる
「ふたりしずかに」という名前には、もうひとつ意味がある。
これは自分への約束でもある。このサービスでは、にぎやかさを目指さない。
無理に盛り上げない。相手の沈黙を埋めようとしない。
フレンドたちにも、そういう姿勢を共有している。
名前が方針を決めてくれた、と言ってもいいかもしれない。
迷ったときに「ふたりしずかに」という言葉に立ち返ると、やるべきことが見える。
売上を伸ばすためにもっと派手な広告を打とうかと思ったとき、この名前を見て「いや、違う」と思い直す。
私たちは静かでいい。控えめでいい。必要な方に、必要なタイミングで届けばいい。
うまく言えないけど、この名前に助けられていると感じることがある。
まだ届いていない人に
ここまで読んでくれたあなたが、もし「ふたりしずかに」という名前をどこかで見て、気になってこのページを開いてくれたのだとしたら、嬉しい。
私はこの名前を、ネットの海に静かに浮かべたようなものだと思っている。
大声で呼びかけはしない。でも、必要としている方が見つけてくれたらいいなと思って、ここに置いている。
たぶん、この名前が気になる方は、静かな時間を求めている方だと思う。その感覚は、おかしくない。
このブログの最後にもう一度、この名前の話をする予定でいる。そのときには、もう少し違うことが言えるかもしれない。今はまだ、ちょっと恥ずかしい。
次の話では、繊細さんブームの先で私が考えていたことを書こうと思う。

