【オーナーコラム#12】「お金を払ってるから気を遣わなくていい」と言われてハッとした

【オーナーコラム#12】「お金を払ってるから気を遣わなくていい」と言われてハッとした

「お金を払ってるから、気を遣わなくていい。だから楽なんです」

3回目の利用で、ある方がふとこぼした言葉。最初は複雑だった。

でもその意味がわかったとき、レンタルフレンドの料金について、私の考え方は少し変わった。

目次

「だから楽なんです」と笑った方のこと

その方は、3回目の利用のときにふとこう言った。

「お金を払ってるから、気を遣わなくていいんですよね。だから楽なんです」

私は一瞬、言葉に詰まった。

正直に言うと、最初は少し複雑な気持ちだった。お金を払っているから楽、という言葉を、どう受け取ればいいのかわからない。

サービスを提供している側としては、もう少し違う理由で「楽」と言ってほしい気持ちが、たぶんどこかにあったのだと思う。

でもその方は続けた。

「友達と会うのって、すごく気を遣うんです。帰ったあと、今日の自分の発言を全部振り返って、あれは大丈夫だったかなって考えちゃう。楽しかったはずなのに、家に帰ると疲れてる」

ああ、と思った。この方が「楽」と言っているのは、サービスの質とか、フレンドの対応とか、そういう話ではなかった。

もっと手前の、もっと根本的なことだった。

友達との時間が「重い」という人がいること

内向的な方にとって、人と会うこと自体がエネルギーを使う行為だというのは、この仕事を始めてから何度も聞いてきた。

でも、それだけではない。

友達との関係には、目に見えない「貸し借り」がある。

  • 今日はこの子が話を聞いてくれたから、次は私が聞かなきゃ。
  • 誘ってもらったから、今度はこっちから誘わないと。
  • お土産をもらったから、何か返さないと。

その一つひとつは小さい。でも、内向的な方にとっては、その小さな積み重ねが、いつの間にか重くなる。

ある方は「友達が好きなのに、LINEの通知が怖い」とおっしゃっていた。

返さなきゃと思うのに、何を返せばいいかわからなくなる。

既読をつけたら返さないわけにいかない。でも今日はもう、誰かのために言葉を選ぶ余力がない。

これは怠けているのではない。ただ、人との関係を丁寧にしようとしすぎて、疲れ果てているだけだ。

そういう方が、この仕事をしていると本当に多い。

お金が「対等」を作るという発見

「お金を払ってるから気を遣わなくていい」という言葉の意味が、少しずつわかってきた。

お金を払うという行為が、関係をシンプルにしているのだと思う。

友達関係には、暗黙のルールがたくさんある。

話を聞いてもらったら、次は聞く番。食事をおごってもらったら、次は私が出す番。その循環が自然にできる人はいい。

でもそれが苦手な人にとっては、誰かと一緒にいること自体が、ずっと借りを作り続けている感覚になる。

料金を払うことで、その貸し借りはゼロだ。

「聞いてもらった分、何かお返ししなきゃ」がなくなる。だから、ただ話すことに集中できる。ただ黙っていてもいい。ただ一緒にいることだけに、意識を向けられるようになった。

これは私にとって、利用者の方に教えてもらった発見だった。

「お金で友達を買う」への後ろめたさについて

「ふたりしずかに」の利用を検討している方の中には、「お金を払って友達をレンタルするなんて」という気持ちを抱えている方がいると思う。

この話はいずれ別の記事で詳しく書こうと思っているけれど(→料金についての本音はこちらで書いています)、ここでは一つだけ。

お金を払うことに後ろめたさを感じる方は、たいてい、人間関係をとても大切にしている方だ。

大切にしているからこそ、「お金で買う」という行為に抵抗がある。

友達との関係は、お金とは無関係の純粋なものであるべきだと思っている。その感覚は、私は正しいと思う。

でも、同時にこうも思う。

美容院で髪を切ってもらって、後ろめたいと思う人はあまりいない。

マッサージを受けて「お金で身体のケアを買ってしまった」と自分を責める人もいない。

自分が元気でいるために必要なことにお金を使う。それだけのことだ。

心が疲れたときに、誰かに話を聞いてもらう。それも同じなんじゃないかと、私は思っている。

ただ、こういう話を自分でするのは少し気恥ずかしい。

お金をもらっている側の人間が言っても、ポジショントークに聞こえてしまうかもしれない。

だから、あの方が「だから楽なんです」と笑ってくれたことが、私にはとても大きかった。

気を遣わないでいられる時間の値段

利用料金のことを考えるとき、私はときどき不思議な気持ちになる。

うちのサービスに限った話ではないけれど、レンタルフレンドの料金は「誰かの時間を買う値段」だと思われがちだ。

でも、あの方の言葉を聞いてから、少し違う見え方をするようになった。

あれは「気を遣わないでいられる時間」の値段なのかもしれない。

予約ボタンを押すまでに1ヶ月かかった方もいる(→その方の話はこちらに書きました)。

迷って当然だと思う。お金を払って人と会うという行為に、すんなり納得できる人のほうが少ないだろう。

でも、何度も言うけれど、そこで迷っている方は、人間関係を雑に扱えない方だ。

雑に扱えないから、友達との時間でも疲れる。雑に扱えないから、「お金で友達」という言葉に引っかかる。

その引っかかりを持ったまま、それでもこのページを読んでいるあなたのことを、私はおかしいとは思わない。

あの方がくれた「だから楽なんです」は、たぶんそういう人たちへの、一番正直な言葉だったと思う。

そのことを書いておきたかった。ただ、それだけです。

→次の話:帰り道に泣いた方の話

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