
本当に必要なのは
正しい答えなのだろうか
私がレンタルフレンド「ふたりしずかに」を立ち上げようと決心した背景には、静かで、けれど切実な声との出会いがありました。
長年、さまざまな女性の悩み相談に携わる中で、多くの方がご自身の進むべき道や解決策を、実はもうご存知なのだと感じることが多々ありました。
それでも、心が追いつかない。言葉にならない想いが胸につかえて、一歩が踏み出せない。
そんなとき、本当に必要なのは、論理的な「正解」ではなく、ただ黙って隣に座り、温かく耳を傾けてくれる存在なのではないか。
「ただ、隣にいてほしい」から始まった物語
正しい答えはわかっているんです
でも今は…ただ聞いてほしいだけなんです
カフェの奥の席で、彼女がコーヒーカップを両手で包むようにして呟いた言葉が、私の胸に刺さりました。
30代半ばの女性コンサルタント。
仕事ではクライアントの悩みを解決する立場なのに、自分のことは話せずにいた。
その一週間後、今度はベテラン看護師の女性がこう打ち明けました。
患者さんのケアは生きがいです
でも毎日『頑張って』と言い続けるのが
ふと、空しいときがあるんです
この二つの声が、私の中で共鳴しました。
まるで対極にあるようで、実は同じ「孤独」を抱えていることに気付いたのです。
私たちが見過ごしていた「静かなSOS」
相談業務で100人以上の女性と向き合う中で、あるパターンに気付きました。
- 外向的な人は「どうすればいいですか?」と助言を求める。
- 内向的な人は「(解決策はわかっているけど)受け止めてほしい」と訴える。
・キャリアコンサルタントなのに自分の仕事がうまくいかない
・カウンセラーなのに友達に本音を言えない
・保育士なのに子育ての不安を打ち明けられない
彼女たちに共通していたのは、専門家として「正しくあること」を求められる疲れ。
そして「弱音を吐いてはいけない」という自己規制でした。
看護師さんが教えてくれたこと
ある日、緩和ケアの看護師さんから興味深い話を聞きました。
「末期患者さんに最も感謝されるのは、痛みを取ってくれた時でも、励ましてくれた時でもない。ただ手を握って、一緒に沈黙を共有してくれた時なんです」
この言葉が、全てを繋げました。
専門性の本質は「解決」だけではなく「共有」にあるのだと。
「ふたりしずかに」が目指すもの

私が始めたのは、シンプルなサービスです。
- [専門家]が[内向的な人]を
- [アドバイス]ではなく[存在]を
- [解決]ではなく[対話]を
レンタルする。
看護師、介護士、教師、セラピスト…各分野のプロたちが、専門家としてではなく「ひとりの人間」として向き合います。
特徴は3つ
- 「解決しなければ」という義務感からの解放
- 評価やアドバイスをしない安心空間
- 沈黙も会話の一部と認めるゆとり
あなたらしさを、このままで
- 「もっと外交的になった方がいい」
- 「もっと自分を変えなければ」
そんな言葉に、どれだけ多くの女性が傷ついてきたことでしょう。
でも、内向的な性格は、決して直すべき欠点ではありません。
それは、あなたらしさを形作る大切な個性です。
これからの「ふたりしずかに」へ
私たちは、特別なことは何もしません。
ただ、あなたの話に耳を傾け、あなたのペースを大切にし、あなたの気持ちが整うのを、静かに待ちます。
そして、必要なときだけ、専門家としての経験を、そっとお伝えできたら。
それが、私の願いです。
内向的な女性が、自分らしく生きていける社会。
その実現に向けて、私たちは一歩ずつ、確かな歩みを進めていきたいと思います。
「ふたりしずかに」オーナー

