作業療法士(OT)は、日常生活動作の改善や生活の質の向上を支援する専門家として、医療・福祉の現場で重要な役割を担っています。病院や施設での時給は、経験年数や勤務形態によって異なりますが、一般的な相場は1,400円前後となっています。正社員としての月給は新卒で22万円程度、経験5年以上で27万円前後です。賞与を含めた年収では、新卒で330万円程度、経験を積むと450万円以上も期待できます。
この仕事の醍醐味は、利用者様の生活がより豊かになっていく過程に寄り添えることです。「趣味の活動が再開できた」「家事が楽にできるようになった」「仕事に復帰できた」といった喜びの声に触れられることは、OTならではの大きなやりがいとなっています。また、チーム医療の一員として他職種と連携しながら、利用者様の自己実現をサポートできる点も魅力です。
作業療法の特徴は、その人らしい生活の実現を目指すところにあります。身体機能の回復だけでなく、心理面のサポートや環境調整まで、包括的なアプローチが必要とされます。この「生活の専門家」としての視点は、副業を考える際にも大きな強みとなります。
医療現場でのOTの副業機会
OTの専門性を活かした副業として、まず医療現場での機会をご紹介します。デイケアやデイサービスでの非常勤勤務は、基本時給1,400円前後からスタートし、経験や担当する業務内容によって上昇していきます。午前・午後に分かれたシフト制で、自分の生活リズムに合わせた働き方が可能です。
特に認知症予防プログラムの企画・運営は、OTの専門性が高く評価される分野です。回想法や手工芸活動など、脳の活性化を促す活動を提供することで、利用者様の認知機能維持・向上に貢献できます。グループ活動の担当では、時給1,800円から2,000円程度の報酬が期待できます。
訪問リハビリテーションのスポット勤務も需要が高まっています。1件あたり2,000円から3,000円程度の報酬で、自分の予定に合わせて訪問件数を調整できます。利用者様の生活環境に合わせた動作訓練や、家族への介助指導なども行います。実際の生活場面での支援は、OTの専門性を存分に発揮できる機会となります。
精神科デイケアでの非常勤勤務も、OTの活躍が期待される場です。グループ活動やSST(社会生活技能訓練)の実施を通じて、利用者様の社会参加を支援します。時給1,600円から1,800円程度で、週1回からの勤務が可能です。
オンラインでの活動機会
医療系ライターとして健康情報や生活支援に関する記事を執筆することも可能です。介護用品の使用方法や住環境の工夫、ストレス管理など、OTならではの視点での情報発信が求められています。1記事あたり8,000円から2万円程度の報酬が見込め、在宅で時間を有効活用できます。
福祉用具のモニターやレビュアーとしての活動も増えています。専門的な視点から製品の評価やフィードバックを提供することで、1案件につき1万円から3万円程度の報酬を得ることができます。メーカーとの直接取引では、より高額な報酬も期待できます。
オンラインでの生活相談や環境調整アドバイスも注目を集めています。ビデオ通話を活用して、住環境の改善点や生活動作の工夫について提案します。1回30分で2,000円から3,000円程度の報酬が一般的です。
レンタルセラピストという新しい選択肢
最近注目を集めているのが、レンタルセラピストとしての活動です。これは医療行為は一切行わず、生活の専門家として対話やアドバイスを提供するサービスです。OTの持つ「生活への深い理解」「活動分析の視点」「コミュニケーション力」が、このような活動で大きな強みとなります。時給は4,000円程度からスタートでき、経験を積むことで報酬アップも期待できます。
レンタルセラピストとして活動する際は、日常生活での工夫や、趣味活動の提案、ストレス解消法など、友人として気軽にアドバイスができます。生活習慣の改善や新しい趣味の開拓など、その人らしい生活の実現をサポートします。また、心身の健康管理について、専門的な視点から一般的なアドバイスを提供することも可能です。
このサービスの特徴は、医療機関とは異なるリラックスした雰囲気の中で、じっくりと対話ができる点です。利用者様は、普段の病院では聞きづらい些細な悩みや不安を相談することができ、より身近な視点でのアドバイスを得られます。
活動形態と場所
対面での活動では、カフェでの会話や趣味活動への同行など、リラックスできる環境での交流が可能です。公共施設での創作活動や、買い物同行など、実生活に即した活動も人気があります。利用者様の希望に応じて活動場所を設定でき、より自然な形での交流が実現できます。
また、企業のメンタルヘルスケアの一環として、職場でのリラクゼーションプログラムを提供することもあります。ストレス管理や作業環境の改善提案など、OTならではの視点を活かした活動が求められています。
オンラインでは、ビデオ通話を通じた相談や、生活改善に関するアドバイスを提供できます。地理的な制約なく活動できる利点があり、空き時間を効率的に活用できます。
安全で適切な活動のために
医療専門職としての倫理観を持ちつつ、セラピストとしての適切な距離感を保つことが重要です。医学的な治療やリハビリテーションは一切行わず、あくまで一般的な視点でのアドバイスに留めます。必要に応じて医療機関の受診を促すなど、セラピストとしての立場を明確にした上でのサポートを心がけます。
活動記録やプライバシーの保護も徹底します。活動内容や相談内容の記録は適切に管理し、個人情報の取り扱いには細心の注意を払います。また、保険への加入や、緊急時の対応マニュアルの準備なども欠かせません。
OTとしての可能性を広げる副業
OTとしての専門性を活かした副業は、新たな社会貢献の形として期待されています。医療機関での経験を基盤としながら、より身近な立場で人々の生活をサポートできる魅力的な選択肢といえるでしょう。
副業での経験は、本業での視野を広げることにもつながります。様々な生活場面での活動を通じて、新しい視点や手法を学ぶことができます。また、異なる形での社会貢献は、OTとしてのキャリアの幅を広げる貴重な機会となるはずです。