【インタビュー】「誰か隣にいて…」孤独と生きづらさを抱える私が「レンタルフレンド」という選択肢に揺れた瞬間

今回お話を伺ったのは、神奈川県川崎市にお住まいの橘佳奈さん(38歳・仮名)。

中小企業で経理事務として働きながら、10歳になる娘さんを育てるシングルマザーです。

佳奈さんは長年、人間関係を築くことに難しさを感じ、深い孤独感と生きづらさを抱えてきました。

今回は、そんな佳奈さんが自身の経験と、そこから見出した小さな変化について、率直に語ってくださいました。

聞き手は、当メディアの代表です。

目次

秋風がしみる公園と、見えない「壁」

秋風がしみる公園と、見えない「壁」

代表: 佳奈さん、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。佳奈さんは長年、孤独感や生きづらさを感じてこられたとのことですが、具体的にはどのような日常を送っていらっしゃるのでしょうか?

橘佳奈さん(以下、佳奈): よろしくお願いします。…そうですね、日常、ですか。例えば、週末に娘を公園に連れて行っても、他のママさんたちの輪には、どうしても入れなくて。楽しそうにおしゃべりしているのを、少し離れたベンチから眺めているだけ、ということが多いです。

代表: その輪の中に入っていけない、と感じるんですね。

佳奈: はい…。自分と彼女たちの間には、見えない壁があるような気がしてしまって。もちろん、私が勝手にそう感じているだけなのかもしれないんですけど…。学生の頃からずっとそうなんです。自分から話しかけるのが苦手で、いつも輪の外にいるような感覚が抜けなくて。

代表: 長年、その感覚を抱えていらっしゃるんですね。

佳奈: ええ。娘には、私みたいになってほしくない、と思うんですけどね…。公園からの帰り道、娘は楽しそうに話してくれるんですが、私は内心、『今日も誰とも話さなかったな』なんて考えてしまって。そんな自分が嫌になります。

会社の飲み会、私は今日も「隅の人」

会社の飲み会、私は今日も「隅の人」

代表: お仕事の場ではいかがですか?職場での人間関係で、何か感じることはありますか?

佳奈: 職場でも、基本的には必要最低限の会話しかできなくて…。特に、飲み会のような場が本当に苦手なんです。先日も部署の歓送迎会があったんですが、やっぱり端っこの席で、ほとんど誰とも話せずに時間が過ぎるのを待っているような状態で…。

代表: 周囲が盛り上がっている中で、疎外感を感じてしまう?

佳奈: まさに、そうです。楽しそうな声が、自分だけ違う世界のことのように聞こえてしまうんです。もう10年以上勤めている会社ですけど、「同僚」はいても、「友達」と呼べるような関係の人は一人もいなくて。『本当は、もっと気楽に話したい』『何かあった時に相談できる人がいたらな』って思うんですけど、いざとなると何もできなくて…。帰り道に、なんで私はこんなに不器用なんだろうって、落ち込んでしまいますね。

「大丈夫?」娘の言葉が刺さった夜

代表: そんな中で、娘さんとの関係は佳奈さんにとって大きな支えになっているのではないでしょうか。

佳奈: はい、娘の存在は本当に大きいです。でも…だからこそ、辛い時もあります。飲み会で落ち込んで帰った夜、娘に「ママ、最近ため息ばっかりついてるよ。大丈夫?」って心配されてしまって…。

代表: 娘さんは、佳奈さんの様子をよく見ていらっしゃるんですね。

佳奈: そうみたいです…。隠しているつもりでも、伝わってしまうんですよね。その時、ハッとして。自分のこの暗い気持ちが、この子にまで影響を与えているんだ、って。母親なのに、しっかりしなきゃいけないのに、心配ばかりかけて…情けなくて、罪悪感でいっぱいになりました。『大丈夫だよ』って無理して笑いましたけど、心の中では全然大丈夫じゃなくて。そのギャップがまた、苦しかったです。

思い出すのは、いつも一人だった自分

思い出すのは、いつも一人だった自分

代表: その、人との関わりへの苦手意識というのは、いつ頃から感じていらっしゃるんですか?

佳奈: 本当に、物心ついた頃から…という感じです。小学校でも、休み時間は一人で本を読んでいることが多くて。友達の輪に入るのが怖かったんです。大学で一人だけ、何でも話せると思える親友ができたんですが、卒業と同時に疎遠になってしまって…。それも、私がもっと連絡を取っていれば…って後悔しています。

代表: 関係を維持することにも、難しさを感じてしまう?

佳奈: そうなんです。迷惑じゃないかとか、色々考えてしまって、結局、連絡できなくなってしまう。恋愛も、上手くいった経験がほとんどなくて…。元夫とも、結局、最後まで心を開けなかったのかもしれない、と思います。離婚して5年経ちますが、もう誰かと深い関係になるのは怖い、という気持ちが強いですね。

代表: ご自身なりに、変わろうと努力された経験は?

佳奈: はい、一応…。明るく振る舞ってみたり、コミュニケーションに関する本を読んでみたり。でも、付け焼き刃というか…根本的な部分は何も変わっていない気がします。努力しても変われない自分に、無力感を感じてしまいますね。38歳にもなって、こんなことで悩んでいるなんて…本当に情けないです。

キラキラしたSNS、重くなる現実

キラキラしたSNS、重くなる現実

代表: 今の時代、SNSなどで他の人の生活が目に入りやすいですが、そのあたりはいかがですか?

佳奈: ああ…SNSは、見ると落ち込むことが多いですね。特にInstagramとか。何気なく開くと、同級生が家族旅行を楽しんでいる写真とか、キラキラした日常が流れてきて…。

代表: ご自身の現実と比べてしまう?

佳奈: はい…。頭では分かってるんです、SNSなんて良い部分しか見せないものだって。でも、どうしても比べてしまって。『それに比べて、私は…』って。友達もパートナーもいなくて、養育費の心配をして、毎日会社と家の往復で…。自分の人生が、すごく色褪せて見えてしまうんです。それで、ますます自己嫌悪に陥ってしまって。見なければいいのに、見てしまうんですよね。

「いっそ、消えてしまえたら」と願うほどに

代表: 経済的なご不安もある中で、精神的にも追い詰められてしまう状況だったんですね。

佳奈: ええ…。そんな時に、元夫の代理人から養育費の支払いが今後さらに困難になる、という通知が届いて。もう、目の前が真っ暗になるような感覚でした。これから娘にはもっとお金がかかるのに、私一人でどうしたらいいんだろうって…。

代表: 頼れる方もいらっしゃらなかった?

佳奈: そうですね…。親も心配はしてくれるんですが、遠回しに再婚を促すようなことを言われたりすると、かえってプレッシャーになってしまって。本当の悩みは、とてもじゃないけど言えませんでした。

代表: その頃は、精神的にかなり辛い状態だったんですね。

佳奈: はい…。もう、何もかもが嫌になってしまって。頑張っても何も変わらないし、どうしたらいいのかも分からない。このまま一人で、ずっと不安を抱えて生きていくのかと思ったら、息が詰まりそうで…。ある夜、コンビニに行こうと家を出たんですが、歩きながら『このまま消えてしまえたら、どんなに楽だろう』って…。『朝、目が覚めなければいいのに』って、本気で考えてしまって。そんな自分に、すごく怖くなりました。

小さな転機、そして「レンタルフレンド」への問い

小さな転機、そして「レンタルフレンド」への問い

代表: 本当に、お辛い状況だったんですね…。そんな中で、何か少しでも気持ちが変化するきっかけはあったのでしょうか?

佳奈: はい…本当に些細なことなんですけど。行きつけのカフェがあって、そこでいつもコーヒーを頼むんですが、ある日、いつもは無愛想な店員さんが「いつもありがとうございます。この豆、今日から新しいんですよ」って、不意に声をかけてくれたんです。

代表: いつもと違う、予期せぬ一言だったんですね。

佳奈: そうなんです。すごく驚いて、うまく返事もできなかったんですけど…。でも、その瞬間、なんだか、凍っていた心がほんの少しだけ溶けたような気がして。『ああ、私、ちゃんと認識されてたんだな』って。ただの「客」じゃなくて、「いつも来る人」だって。それが、暗闇の中にいた私にとっては、本当に小さな光みたいに感じられて…。

代表: ほんの少しの交流が、佳奈さんの心に響いたんですね。それが「変わりたい」という気持ちに繋がったのでしょうか?

佳奈: そうですね…。その出来事をきっかけに、『このままじゃ嫌だ』『変わりたい』って、改めて強く思いました。もちろん、怖い気持ちもあります。また失敗するかもしれない、傷つくかもしれないって。でも、あのどうしようもない絶望感を繰り返したくない、という気持ちの方が強くて。

代表: 誰かと繋がりたい、でも怖い。その葛藤は、佳奈さんだけでなく、多くの方が抱えているのかもしれません。ところで佳奈さん、最近「レンタルフレンド」や「友達代行」といったサービスがあるのはご存知ですか?

佳奈: レンタルフレンド…言葉は聞いたことがあります。ニュースか何かで見たような…。でも、正直、自分には全く縁のない世界だと思っていました。なんとなく、お金で関係性を買う、みたいなイメージがあって、少し抵抗感というか…。

代表: なるほど、そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、今お話に出たような「誰かと繋がりたいけど、上手く関係を築けない」「ただ、誰かにそばにいてほしい」という気持ちに応えるサービスも増えているようなんです。

もし、仮にですが、佳奈さんのように内向的な方が安心して利用できるような、「無理に話さなくてもいい」「ただ静かに隣にいて、温かい時間を共有したい」という気持ちに特化したサービス…例えば、私が運営する『ふたりしずかに』というような、恋愛感情などは一切抜きで、純粋に寄り添ってくれるようなサービスがあったとしたら…佳奈さんは、利用してみたいと思われるでしょうか?

佳奈: …………。(少し考え込む)『ふたりしずかに』、ですか……。内向的な人向けで、無理に話さなくてもいい、ただ寄り添ってくれる……。

代表: はい、もし、そういうコンセプトのサービスがあったとしたら、という話ですが。

佳奈: そうですね……正直に言うと……誰かに、ただ黙って隣にいてほしい、って思う瞬間は……あります。すごく落ち込んだ時とか、どうしようもなく寂しい夜とか……言葉にならない気持ちを、ただ、受け止めてほしい、みたいな……。

代表: ええ。

佳奈: だから…もし、本当にそういう…なんていうか、安全で、安心できる場所というか、時間を提供してくれるサービスがあるのなら……。すぐに『利用します!』とは…やっぱり言えないと思います。勇気もいるし、どんな人が来るんだろうとか、お金のこととか、色々考えてしまうので……。

代表: もちろん、そうですよね。

佳奈: でも……もし、本当に信頼できるサービスで、私のこの、どうしようもない孤独感とか、寂しさとかを、少しでも和らげてくれる可能性があるなら…………選択肢の一つとして、考えてしまうかも…しれません。すごく…身勝手で、虫の良い話だって分かってるんですけど……それくらい、誰かの温もりというか、存在を近くに感じたい時があるのは…事実なので……。戸惑いは、すごくありますけど…完全に「ない」とは、言い切れない…かもしれません。

顔を上げて、まずは深呼吸から

顔を上げて、まずは深呼吸から

代表: 正直なお気持ちをありがとうございます。利用するかどうかは別として、そうした「ただ寄り添ってほしい」という気持ちが佳奈さんの中にある、ということですね。色々な葛藤を経て、今、佳奈さんはこれからについて、どんな風に考えていらっしゃいますか?

佳奈: はい…。すぐに何かが劇的に変わるわけではない、と思っています。でも、まずは、自分を責め続けるのをやめたいです。人付き合いが苦手な自分も、それはそれとして、少しずつ受け入れていきたいなって。そして、娘のためにも、自分の心と体をもう少し大切にしようと思っています。

代表: 具体的に、何か始めようと思っていることはありますか?

佳奈: 本当に小さなことですけど…例えば、あのカフェで、次に行った時に「美味しかったです」って言ってみるとか。挨拶の時に、少しだけ口角を上げてみるとか。娘の話をもっとちゃんと聞くとか。そんな、本当にささやかなことから、始めてみようかな、と。

代表: 大きな変化ではなく、日常の中の小さな一歩ですね。

佳奈: はい。未来への不安が消えたわけではありません。また落ち込むこともあると思います。でも、あの真っ暗な場所にずっといるよりは、少しでも顔を上げて、ゆっくり深呼吸して、前に進みたい。そう思っています。

代表: 佳奈さんのその正直な言葉と、小さな一歩を踏み出そうという決意が、同じように悩んでいる多くの人に勇気を与えると思います。本日は本当にありがとうございました。

佳奈: こちらこそ、ありがとうございました。

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