【オーナーコラム#25】推し活に「一緒に行ってほしい」と頼まれた日

【オーナーコラム#25】推し活に「一緒に行ってほしい」と頼まれた日

「本当は、ずっと一人で来てたんです」

ライブ会場のロビーでそう言った方の手は、少し震えていた。

推し活を一緒に楽しむ人がいない寂しさ。好きなものを好きだと言える場所がない孤独。

レンタルフレンドの運営者が、ある同行依頼の日を振り返る。

目次

開演前のロビーで、その方は泣きそうだった

予約の連絡をもらったとき、正直に言うと少し驚いた。

「ライブに一緒に行ってくれるフレンドさんって、いますか?」

推し活の同行。うちに来る依頼としては、珍しい部類に入る。

「ふたりしずかに」には、

  • 話し相手がほしい
  • 散歩に付き合ってほしい
  • ただ黙って隣にいてほしい

そういう依頼が多い。ライブ会場という場所が指定されたのは初めてに近かった。

少し迷った。対応できるフレンドがいるかどうか。

会場の雰囲気に馴染めるかどうか。でも、メッセージの文面からにじんでいた切実さに、断るという選択肢は浮かばなかった。

担当したフレンドから後日、その日のことを聞いた。

会場のロビーで合流したとき、その方の手がわずかに震えていたそうだ。

緊張というより、もっと別の何か。フレンドが「楽しみですね」と声をかけると、その方は少し笑って、でもすぐにうつむいて、こう言ったらしい。

「本当は、ずっと一人で来てたんです」

推し活が好きだということ。でも、一緒に行く人がいない。

周りはみんな連番で来ていて、一人でいる自分がどうしても目立つ気がする。

それが嫌で、だんだん足が遠のいていたのだと。

フレンドは「うん」とだけ返して、黙って隣に立っていたそうだ。

一人で楽しめるはずのものが、一人では楽しめなくなるとき

これは私の感覚だけど、推し活って、もともとは一人でも十分成り立つ趣味のはずだ。

  • 好きなアーティストのライブを観に行く
  • グッズを買う
  • SNSに感想を書く

別に誰かと一緒じゃなくても、楽しいものは楽しい。

でも、会場に着いた瞬間に変わる。

  • 隣で同じ曲に手を振る人がいる光景。
  • 開演前に「やばい、緊張する」と笑い合っている二人組。
  • 物販の列で「これ絶対買おう」と相談し合っている声。

そういう風景の中に一人で立っていると、好きなものを好きでいることの孤独みたいなものが、ふっと顔を出す。

たぶん、推し活に一緒に行く人がいないことを寂しいと感じるのは、「推し」が嫌いになったわけじゃない。

ただ、好きなものを共有する相手がいないという事実が、好きという感情に影を落とすのだと思う。

ある方は「ライブ自体は最高なんです。でも帰り道がつらい」とおっしゃっていた。

感動を持って帰る先に、誰もいない。余韻を分かち合う相手がどこにもいない。

あの興奮を「今日やばかったね」と口にする瞬間が、永遠に来ないまま電車に乗る。その感覚は、私にもわかる気がする。

こういうことを書くと、「じゃあSNSで語ればいいじゃん」と思う方もいるかもしれない。

でも、画面越しの共感と、同じ空気を吸った人との共感は、やっぱり違う。

それは優劣の話ではなくて、体で感じる温度が違うのだと思う。

隣で「同じ景色」を見ているということ

フレンドから聞いた話の続き。

開演して、照明が落ちて、最初の一音が鳴った瞬間。その方は、ぱっと顔を上げたそうだ。

それまでの不安そうな表情が、嘘みたいに消えていた。好きなアーティストが目の前にいるという、ただそれだけのことで人はこんなにも変わるのかと、フレンドは横で少し驚いたらしい。

フレンドはそのアーティストのことを詳しく知らなかった。でも、曲に合わせて一緒に手を挙げて、拍手して、MCで一緒に笑っていた。

知っているかどうかなんて、どうでもよかったのだろう。

同じ空間で、同じ音を浴びて、同じタイミングで体が動く。それだけで十分だったのだと思う。

終演後。会場を出たその方が、フレンドに向かってこう言ったそうだ。

「隣に誰かがいるだけで、こんなに違うんですね」

その一言を報告で聞いたとき、私は少し黙った。

うまく言えないけど、この仕事をやっていてよかったと思う瞬間がときどきある。これはそのひとつだ。

ふと、全然関係ないことを思い出した。私自身、昔よくライブに一人で行っていた時期がある。

好きなバンドの対バンイベントで、周りが盛り上がっている中、知らない曲に乗れなくて手持ち無沙汰になる、あの感じ。

別に嫌じゃなかったけど、隣に「今の良かったね」と言える人がいたら、たぶん帰り道の景色はもう少し明るかったと思う。

「好き」を共有できる場所がなかった人たち

推し活の同行依頼を受けるようになって気づいたことがある。

依頼してくれる方の多くは、好きなものへの情熱はとても深い。

グッズの話をするとき、目が輝く。セットリストの予想を語るとき、早口になる。好きという気持ちに嘘がない。

でも、それを周囲に共有できていない。友達に推しの話をしても「へえ」で終わる。

職場では趣味の話自体しづらい。

SNSで繋がったオタク仲間はいるけれど、リアルで会うのはまた別のハードルがある。

結果として、好きなものを好きだと声に出す場がない。

一緒に行く人がいないからライブを諦める。それは、推し活の問題だけじゃなくて、もっと根っこにある孤独の話だと思う。

→一人の時間が変わっていった方の話はこちらに書きました

フレンドは「オタク仲間」にはならない、けれど

ひとつ正直に書いておきたいことがある。

フレンドは、あなたの推しを同じ熱量で好きにはならない。一緒にライブに行っても、そのアーティストの歴史や楽曲の文脈まで共有しているわけじゃないから。

「あの曲のあのアレンジが最高だった」という話を、同じ温度で語り返すのは、たぶん難しい。

それでも。

同じ空間にいて、同じ音を聴いて、隣で笑ってくれる人がいるということ。帰り道に「楽しかったですね」と言い合えるということ。

それは、オタク仲間とは違う形だけど、確かに何かを満たしてくれるものだと、依頼者の表情を見ていて思う。

推し活だけじゃなくて、たとえば結婚式に一緒に行ってほしいという依頼もある。

→結婚式の同行についてはこちらで書いています

「一緒にいてくれる人がほしい」という気持ちの形は本当にいろいろで、私はこの仕事をしながら、その「いろいろ」に毎回少し驚く。驚いて、それからじわっと、嬉しくなる。

あの日、ライブ会場のロビーで手を震わせていた方は、その後も何度かフレンドと推し活に出かけたと聞いている。最近のメッセージには「次は遠征したいです」と書いてあった。

私はそれを読んで、ちょっと笑ってしまった。遠征。あのとき、地元のライブハウスに来るだけで精一杯だった方が、遠征。

人が前を向くときの姿は、いつだって少しだけ滑稽で、でもとても眩しい。

好きなものを好きでいるために、誰かの手を借りる。それはおかしなことじゃない。少なくとも、私はそう思っている。

→次の話:夜の電話で「おやすみ」を言い合うだけの時間

ご利用の流れ

初めてでも安心。3つのステップで、あなたに合ったフレンドと出会えます。

01

フレンドを選ぶ

プロフィール一覧からお好みのフレンドをお選びください。迷ったら掲示板への投稿や、運営へのご相談も可能です。

02

日程・内容を相談

日時や場所をすり合わせます。あなたのペースで大丈夫です。

03

当日、ふたりしずかに

カフェやお散歩、オンラインなど、ご希望の場所でフレンドと過ごします。話す内容も、沈黙も、すべてあなた次第。

予約する

フレンドが決まったら、LINEまたはXからご予約ください。

自分では選べない、
誰がいいかわからない方へ

「プロフィールを見ても決められない」「知らない相手にDMするのが怖い」そんなあなたのために、運営がフレンド選びをお手伝いします。匿名のまま、あなたのペースで相談できます。

1

運営に匿名で相談する

LINEまたはXのDMから、お気軽にご連絡ください。お名前はニックネームで構いません。

2

条件に合うフレンドを5名ご提案

お悩みやご希望をもとに、運営があなたに合いそうなフレンドを5名お選びしてご提案します。プロフィールだけではわからない相性も考慮します。

3

まずは15分の通話から

いきなり対面が不安な方は、15分の短い通話から始められます。声を聞くだけで、安心感はずいぶん変わります。

15分通話の体験談を読む

お伝えいただく内容

お悩み・話したいことひとことでも、ぼんやりでもOK
希望エリア都道府県や大まかな最寄り駅など
ご希望の形式通話 or 対面
希望日時だいたいの候補でOK

運営がおすすめフレンドを
5名ご提案します

※ ご提案は無料です

※ ご相談は匿名で可能です。お気軽にどうぞ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次