【オーナーコラム#14】「2回目は自分から会いたいって思えました」という報告

【オーナーコラム#14】「2回目は自分から会いたいって思えました」という報告

前回のコラムで書いた、帰り道に泣いたあの方のことを覚えているだろうか。

初回利用のあと、LINEで「ちょっと泣きました」と送ってくれた方だ。あのメッセージをもらってから2週間ほどが経った頃、また通知が来た。

「次の予約を取りたいんですが」

それだけの文面だった。スタンプも絵文字もなし。でも、私はそれを見て、少し息を吐いた。安堵、に近い何か。

目次

「また会いたい」が出てくるまでの距離

初回の利用が終わった後、リピートしてくれる方と、そのまま一度きりで終わる方がいる。

どちらがいいとか悪いとか、そういう話ではない。一度利用して「もう十分です」と思えるなら、それはそれで何かが満たされたということだろう。

ただ、2回目の予約を自分から入れてくれる方には、ちょっと独特の空気がある。

予約ボタンを押すまで1ヶ月かかったという方もいた。初回の予約には、それくらいのエネルギーが必要だったのだと思う。

でも2回目は違う。

2回目の予約は「誰かに会いたい」ではなく、「あの人にまた会いたい」になっている。

その差は、外から見ると小さいかもしれない。でも、私にはとても大きなものに映った。

レンタルフレンドの「2回目」が持つ意味

こういう仕事をしていると、利用者の方がリピートしてくれたことを単純に喜んでいいのか、迷う瞬間がある。

商売として考えるなら、リピーターが増えるのは良いことだ。それは間違いない。

でも、この方が2回目を予約してくれたとき、私の中にあったのは「売上が増える」という感覚ではなかった。

もっと別の、うまく言えない感情だった。

たぶんこういうことだと思う。

初回、恐る恐る来てくれた方が、「もう一度行ってみよう」と思えたこと。

それは、前回の2時間が「怖くなかった」ということの証明なのだ。

誰かと過ごす時間が怖くなかった。気を遣いすぎて消耗することもなく、帰り道に「行かなければよかった」と後悔しなかった。

その方にとって、それがどれほどのことなのか。正直、私にはすべてを想像できるわけではない。

でも、少なくとも「もう一度」と思えたということは、人と会うことへのハードルが、ほんの少し下がったということだろう。

フレンドからの報告で気づいたこと

2回目の利用が終わった日、担当したフレンドから報告が来た。

「前回より、少しだけ声が大きかったです」

それだけの報告。たったそれだけなのに、私は画面の前で少し黙ってしまった。

声が大きくなった、というのは、リラックスしたということだと思う。

初回は緊張していて、声が小さかった。それが、2回目ではほんの少しだけ緩んだ。

フレンドはそういうことをよく見ている。何を話したかよりも、どんなふうに話していたかを、静かに観察している。

話の内容は前回とそう変わらなかったらしい。天気のこと、仕事のこと、最近観たドラマのこと。特別な話題はなかったようだ。

ただ、前回は話すたびに「すみません、つまらない話ばかりで」と謝っていたのが、2回目にはそれがなくなっていた、と。

ここで少し脱線するのだけれど、「つまらない話ですみません」と言う方は、本当に多い。

カフェで何気ない話をしているだけなのに、申し訳なさそうにする。

誰かと話す経験の中で、「自分の話はつまらない」と刷り込まれてきたのだろうか。

それとも、お金を払っているのにこんな話でいいのかと思うのか。

たぶん、両方だと思う。

だから「すみません」が消えたということは、その方の中で何かが変わったということだ。少なくとも、目の前のフレンドに対して「この人の前では謝らなくていいかもしれない」と感じてくれたのだと思いたい。

あの方が2回目に言ってくれた言葉

利用後、またLINEが来た。

今回は前回と違って、短い感想だ。

「2回目は自分から会いたいって思えました。それがちょっと嬉しかったです」

私はその文面を、何度か読み返してしまう。

「会いたいって思えた」こと自体が嬉しい。そう書いてある。

普通なら「会えて楽しかった」と書くところだろう。でもこの方は「会いたいって思えたこと」を喜んでいた。

つまり、それまでは「人に会いたい」という気持ち自体が、どこかで止まっていたのだと思う。会いたいのに会えない、ではなくて。会いたいと思うこと自体が、もう自分には無理だと感じていたのかもしれない。

それがほどけた。ほんの少しだけ。

この方の変化を「レンタルフレンドのおかげ」と言い切るのは、たぶん違う。

フレンドと過ごした時間がきっかけにはなったかもしれないけれど、2回目を予約すると決めたのはこの方自身だ。

スマホを手に取って、予約フォームを開いて、日時を選んで送信した。

その一つひとつの動作を、この方が自分でやった。

私たちは場を用意しているだけで、動いたのはこの方だ。

終わりに

利用者の方から届いた声をいくつか紹介してきた。

「ただ聞いてほしかっただけ」と言った方。帰り道に泣いた方。

何も話さなかった2時間を「最高でした」と言ってくれた方もいれば、お金を払っているから気を遣わなくていいと教えてくれた方もいた。

どの声にも、共通していることがある。

それは「こんなことで」という遠慮だ。

こんなことで予約していいのか。こんなことで泣くなんておかしい。こんなことで嬉しがる自分が情けない。

でも、この仕事をしていて思うのは、「こんなこと」こそが大事だということだ。

劇的な変化はなくていい。人生が一変するような出来事である必要もない。「また会いたいと思えた」、それだけで十分だ。

中には、何度か通ううちに「もう大丈夫です」と言って卒業していった方もいる。それはもちろん嬉しいけれど、すべての方がそうなる必要はないと思っている。

2回目を迷っている方がこれを読んでいるなら、私から言えることは一つだけだ。

迷っていること自体が、もう半分、答えなのかもしれない。

次の章では、この仕事をしていてよく聞かれる質問や不安について、正直に書いていこうと思う。

→よく聞かれる質問に答えます

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