レンタルフレンドって、どんな人が来るんだろう。
その不安はよくわかります。
明るくて話し上手な人が来たらどうしよう、と怖くなる方もいる。
「ふたりしずかに」の運営者が、フレンドの採用で何を見ているのか。資格より大事にしていること、面接で気づいたことを、正直に書きます。
「この人なら話せるかも」を面接で探している
採用の面接をしているとき、私はいつも一つのことを考えている。
この人の前で、黙ってしまう人がいたとして。沈黙が続いたとして。そのとき、この人は何をするだろうか。
履歴書に書かれた資格や経験は、もちろん見る。作業療法士や看護師、教員、歯科衛生士。
医療・介護・教育の現場を歩いてきた人たちの経歴は、それだけで頼もしい。でも正直に言うと、私がいちばん気にしているのは、そこではない。
面接中に、相手が少し言葉に詰まった瞬間がある。そのとき、目の前の応募者がどういう表情をするか。急いで話題を変えようとするのか、黙って待てるのか。それを私は見ている。
「聞ける人」は、意外と少ない
人の話を聞くのが得意です。そう書いてくれる応募者は多い。
ただ、「聞く」にもいろいろある。相槌を打ちながら次に自分が何を言うか考えている人もいれば、相手の沈黙をそのまま受け取れる人もいる。うちが探しているのは、後者のほうだ。
面接では、私のほうからわざと間を空けることがある。5秒くらい、何も言わずに黙る。たいていの人は気まずそうに何か話し始める。それは自然な反応で、悪いことではない。
でも、たまに、こちらの沈黙をそのまま受け止めて、静かに待ってくれる人がいる。
そういう人に出会うと、手元のペンが止まる。ああ、この人だな、と思う。
フレンドに求めていること、求めていないこと
資格はあったほうがいい。でもそれだけでは足りない
「ふたりしずかに」のフレンドには、国家資格を持つ人が多い。
看護師、作業療法士、教員免許、社会福祉の現場経験者。利用者の方が安心できる材料として、資格は確かに力を持っている。
ただ、資格があるから採用しているわけではない。
ある応募者の方は、医療系の資格を持っていて、経歴も申し分なかった。でも面接で話していると、どうも「正しいことを言おう」としている感じがあった。
利用者さんが泣いたらどうしますか、と聞いたとき、「まず落ち着いてもらって、話を整理してあげたいです」と返ってきた。
悪い答えではない。けれど、私はその言葉に少しだけ引っかかった。「整理してあげたい」という言い方に。
うちの利用者さんの多くは、話を整理してほしいわけではないのだ。整理なんてしなくていいから、ただ「うん」と聞いてほしい。そういう方が来てくれている。
逆に、特別な資格はなくても、友人の悩みにずっと付き合ってきた経験がある人。
言葉にならないしんどさの隣に座り続けた経験がある人。そういう人の面接のほうが、私の胸に残ることがある。
明るくなくてもいい
レンタルフレンドのイメージとして、「明るくて話し上手な人」を想像する方もいると思う。
でも、うちのフレンドはどちらかというと、穏やかで静かなタイプが多い。それは意図的にそうしている。
内向的な方が相手だから、テンションの高い人が来ると、それだけで疲れてしまう場合がある。
利用者さんのペースに合わせられること。相手が沈黙しても、焦らずにいられること。そっちのほうが、うちでは大事だ。
ある利用者の方が「フレンドさんがあまり話さない人で、最初は不安だったけど、それがすごく楽だった」とおっしゃっていたことがある。→そのときのことはこちらに書きました
その声を聞いたとき、ああ間違っていなかったな、と少しだけ安堵した。
面接で私がしていること
採用面接と言っても、堅苦しいものではない。だいたいオンラインで1時間くらい話す。
志望動機とか、強みと弱みとか、そういうことはあまり聞かない。そのかわり、「最近、誰かの話を聞いていて心に残ったことはありますか」と聞く。「聞いた話を、自分はどう受け取りましたか」と聞く。
答えの内容よりも、答え方を見ている。
すらすら話す人より、少し考え込んでから「うまく言えないんですけど」と前置きする人のほうが、私は信頼できる。それは、相手の気持ちを雑に要約しない人だから。
たぶん、この感覚は私個人のものだ。一般的な採用基準としては頼りない。でも、この仕事で出会ってきた利用者の方々の顔を思い出すと、その基準を手放せない。
ふと思い出すのは、面接中に泣いてしまった応募者のことだ。「なぜこの仕事に応募したんですか」と聞いたら、自分自身が過去にしんどかった時期のことを話し始めて、途中で声が詰まった。「すみません」と何度も言っていた。
その人は今、うちのフレンドとして活動してくれている。利用者さんからの評判はとてもいい。
面接で泣いたから採用したわけではない。でも、自分の痛みを覚えている人は、人の痛みの前で立ちすくむことができる。そういう人が、うちには必要なのだと思う。
フレンドの「人となり」を知ってほしいから
フレンド一覧のページを見てもらえれば、それぞれのプロフィールや雰囲気はわかるようになっている。でもプロフィールだけでは伝わりにくい部分もある。
たとえば、面接中に「自分も人見知りなんです」と笑った人がいた。レンタルフレンドなのに人見知りなの?と思うかもしれない。でも、内向的な人の気持ちがわかるのは、自分もそっち側にいる人だったりする。
どのフレンドを選んだらいいか迷っている方のために、選び方の考え方を書いた回もある。参考にしてもらえたら嬉しい。
私は今のフレンドたちのことを、誇りに思っている。
これは運営者としてのポジショントークだと思われるかもしれない。でも、この仕事をしていて、いちばん驚いたのは、フレンドたちの真剣さだった。
利用者の方に会う前に、「どんなふうに接したらいいですか」と相談してくる人がいる。終わったあとに、「もっとこうすればよかった」と振り返りを送ってくれる人がいる。
この仕事に、ここまで真剣になってくれる人がいる。そのことが、私にとっては何よりの支えになっている。
うまくまとめようと思ったけれど、まとまらない。ただ、あなたが「どんな人が来るんだろう」と不安に思っているなら、そうだな、こういう人たちです、としか言えない。
完璧な人たちではない。でも、あなたの前で誠実でいようとする人たちだと思う。

